さて、全3回に渡ってお送りしてきた美容整形外科医・西岡先生へのインタビューも、とうとう最終回です。
ここまで、NGが全くなく何でも赤裸々に語ってくれた西岡先生は、かつては誰もが知る大手美容整形外科で働いておられました。
なぜ、西岡先生は独立の道を選んだのか、どんな思いで美容整形外科医をしているのか、インタビューコラム最終回は、西岡先生自身に迫っていきたいと思います。
ーー恵比寿ウエストヒルズクリニックのサイトでは「まっとうな美容医療」という言葉を使っていらっしゃいますが、先生はどのような考えをもってこの言葉を使っていらっしゃるのでしょうか。
西岡:言ってみれば、施術に対して誠意がなく、売り上げがあればいいんだという現実を目の当たりにしました。
昔は、大手の病院は技術が上手いから流行っているんだと思っていました。
美容整形の世界独特の、患者のニーズに答える力があるんだと勘違いしていたんですね。
それで大手に行ってみたら、ただ嘘をついているだけだったんです。
そうではなく、いい事も悪い事も言って納得してもらうことが、まっとうなのではないかと、思ったんですね。
ーー嘘というのは、メリットしか言わないということですか。
西岡:嘘です。プロから見れば、丸嘘です。
例えば、二重瞼手術をしたいとしたとき、3つの価格コースがある病院に行くとします。
患者さんは、一番安いコースで手術しようといざ行ってみると、「あなたはこの手術ではよくなりません。最悪失明します」などと言って、一番高いコースを勧めるわけです。
何も知らない人は、真に受けてしまいますよね。
そこで帰ってしまう人は、二度と来ないだけなので、かまわないんです。
高いコースの手術をしてくれれば万々歳、という商売をしているわけです。
これが恐ろしいことに、結構な確率で高いコースの施術を受けてしまうらしいんです。
安いコースのデメリットを聞かされると、人は高いコースを選んでしまうんですよね。
そこには人を綺麗にしようとする発想はないと思います。
ーー先生個人は、整形反対派ですか? 賛成派ですか?
西岡:数は少ないのですが、確かに整形が必要な人、整形をした方がいい人はいるんですね。そういう意味では賛成派ですね。
しかし、本当に整形が必要な人は少ないと思います。
例えば、18歳の女の子が鼻の手術がしたいと来て、見積もりを出したんですね。
合計で200万くらいになったんです。分かりましたと言って、彼女が帰った数日後に、お父様から直々にお電話をいただきました。
「この度は相談にのっていただいてありがとうございました。話し合いの結果今回は見送らせていただきます」とご丁寧なお断りでした。
正直私はほっとしました。
その18歳の子が、200万を掛けるのであれば、まだやることたくさんあるでしょ、と私は思いました。
ーー先生が思う、「整形が必要な人」とは?
西岡:例えば、見た目で商売をしている人ですね。
ーー見た目で商売していない我々一般人は、しない方がいいのでしょうか。
西岡:二重などで悩んでいて、毎日化粧に時間を掛けていて10万ほどで解決できるのであれば、やってしまった方が早いかもしれないじゃないですか。
そういうこともあると思います。
ーー整形に踏み出せない人も多いと思いますが、西岡先生だったら迷っている人になんと声を掛けますか。
西岡:何を目的としているかですよね。
主観の問題なので、整形しても綺麗になれるかは分かりません。
施術した患者さんの中にも一定数、ご満足いただけない方が必ずいらっしゃいます。
もっと究極的なことを言えば、親からもらった顔がそれぞれありますよね。いいとか悪いとかではなく、好き嫌いですね。
仮に、自分の人生に満足していなかったとしましょう。
「私の人生が上手くいっていないのは、この顔のせいだ」と思っている人は、二重にして人生が変わらないから整形も上手くいかなかったんだと思うわけですね。
ーー綺麗だと思うのは主観の問題ですから、非常に難しいですね。
最後に、西岡先生が医者を続けていく中で、一番大切にしていることはなんでしょうか
西岡:ウサギとカメではありませんが、誠意ある施術をし適切な対価をいただいていれば、息の長い医者であれるのではないかと思います。
患者さんに真摯に向き合える医師であることを大切にしています。
ーーこの度は、お時間をいただきありがとうございました。
約2時間に渡り、整形初心者の記者の質問に分かりやすく答えてくれた西岡先生。
その根本には、お金儲けより患者さんを大切にしたい、という熱い思いがありました。
美容整形外科医が整形を推奨しないことに驚きましたが、整形をするならこんな先生がいいなと心から思いました。
ズバズバとなんでもハッキリお話してくださった西岡先生、ありがとうございました!