今巷で話題の「血液クレンジング」。
芸能人、著名人がこぞってやってますよね。
疲労回復や細胞のアンチエイジングに効果的、なんて言われています。
ところがこの「血液クレンジング」、厚労省などが実態調査を行ったことはご存知でしょうか。
今回は、この「血液クレンジング」の実態に迫っていきたいと思います。
やってみたいと思っている人も、やっている人も、血液クレンジングのことをしっかり知ってから施術を受けるようにしましょう。
血液クレンジングって、結局何?
「血液クレンジング」とは、血液を採取し、また体内に戻すという治療(?)法。
100ml~150mlの血液を専用ボトルを用いて採取し、採取した血液にオゾンを投与します。
この時、血液とオゾンが反応すると黒い血液が一瞬で鮮やかな赤に変色します。(これが罠です。あとで書きます。)
そして、オゾンで活性化された血液をボトルから再び体内に戻すという療法です。
現在、「血液クレンジング」に保険は適用されません。
これはどういうことかというと、医学的な効果が証明されていないということです。
厚労省の吉田学医局長は、下記のように述べています。
「医療保険の適用については、使用する医療機器等において薬事承認を受けた上で、治療と疾病の関係が明らかであること、治療の有効性・安全性などが確立しているかという点について中医協(中央社会保険医療協議会)でご議論いただいた上で、保険適用している。血液クレンジング療法についてはこうした手順が踏まれていないので、保険適用されていない」
はっきりと、「血液クレンジングに医学的根拠はない」と言っています。
ではなぜ、「血液クレンジング」ははやってしまったのでしょう?
実は由緒正しいトンデモ医療
実は、体調を崩した時に血液をなんとかして元気になろう、という治療法は中世のころからありました。
「瀉血」と言われるもので、医学的根拠がないものの、何かと言えば瀉血を行なっていました。(医学って進歩しているようでしていないんですね〜)
そして現代。
トンデモ医師たちは、「血液クレンジング」なるものを発明しました。
これは、採血した血液にオゾンを投与し、健康な血液を体内に戻すというもの。
では、なぜオゾンなのでしょう?
オゾン発生装置は、器具の殺菌に使われる製品で、日本でも医薬品や医療機器として同じように有効性・安全性を確認されて薬事承認されています。
これが、「オゾンで血液を綺麗に」なんてことに繋がったのかもしれません。
ちなみに、人体に使って大丈夫なオゾンは日本にはなく、またアメリカでは2016年から人医療目的でのオゾンの使用を禁止しています。
でも、実際血液の色が変わるんでしょ?!
実際に体験した人が「血液の色が変わる」というのだから、変わるのでしょう。
そのカラクリは簡単です。
血液に投与されるオゾンそのものは強い毒性があるガスなので、オゾンを酸素などで20倍以上に薄めたものが投与されます。
つまり、血液に酸素をブクブクと吹き込んだ結果、血液中のヘモグロビンと酸素が結びついて、鮮血色になるという仕組み。
あれ、この仕組み、どこかで聞いたことが……
中学校の理科の時間に習いましたよね。
人間の体には、静脈と動脈があります。青色と赤色で表されていた、アレです。
静脈とは心臓へ戻ってくる血管で、そこを流れる静脈血は二酸化炭素を多く含んでいます。
動脈とは心臓から出て行く血管で、そこを流れる動脈血は酸素を多く含んでいます。
つまり、「血液クレンジング」はオゾンなんて関係なく、ただ体内で行われる循環活動を、体外で行なっているだけのこと!
普通に生活をし、心臓が動いていれば、血液は勝手に鮮血色になり体を巡ります。
血液クレンジング、するもしないもあなた次第!
「血液クレンジング」には、臨床的効果があるという根拠はありません。
それどころか、オゾンという一般人にはよく分からないものの名前を使って、不必要な治療をしているようにも見えます。
ただ、医学的根拠はこの先発見されるかもしれませんし、プラシーボ効果で元気になるかもしれません。
興味がある人は、一度体験してみるのもいいかもしれませんね!