HSPという言葉を聞いたことがありますか?
ハイリー・センシティブ・パーソンの頭文字を取ったもので、人の言動に動揺しやすかったり、人の感情に自分の気持ちも左右されてしまったり、周囲の音や光や匂いなどが気になって仕方なかったりする人のことです。
HSPの人たちはとても繊細なので、日常生活に於いて気疲れしやすく、「生きづらさ」を感じている人が多いです。
どんな人がHSPなのか
HSPという言葉は、90年代の始め、繊細な人についての研究をはじめたエレイン・アーロン(Elaine Aron)博士によって付けられました。
また、アーロン博士はHSPには4つの特性があるとしています。
考え方が複雑で、深く考えてから行動する
- 一を聞いて、十のことを想像し、考えられる
- 調べ物をはじめると深く掘り下げ、その知識の広さを周りに驚かれる
- お世辞や嘲笑をすぐに見抜いてしまう
- 物事を始めるまでにあれこれ考え、時間がかかる
- その場限りの快楽よりも、生き方や哲学的なものごとに興味があり、浅い人間や話しが嫌い
刺激に敏感で疲れやすい
- 人混みや大きな音が苦手
- 友達との時間は楽しいものの、気疲れしやすく帰宅すると、どっと疲れている
- 映画や音楽、本などの芸術作品に感動して泣く
- 人の些細な言葉に傷つき、いつまでも忘れられない
- 些細なことに過剰なほど驚いてしまう
人の気持ちに振り回されやすく、共感しやすい
- 人が怒られていると自分のことのように感じ、傷ついたり、お腹が痛くなったりする
- 悲しい映画や本などの登場人物に感情移入し、号泣する
- 人のちょっとした仕草、目線、声音などに敏感で、機嫌や思っていることがわかる
- 言葉を話せない幼児や動物の気持ちも察することができる
あらゆる感覚が鋭い
- 冷蔵庫の機械音や時計の音が気になってしまう
- 強い光や日光のまぶしさなどが苦手
- 近くにいる人の口臭やタバコの臭いで気分が悪くなる
- カフェインや添加物に敏感に反応してしまう
- 肌着のタグなどチクチクする素材が我慢できないほど気になる
- 第六感がはたらき、よく当たる
アーロン博士は、4つのうち1つでも当てはまらない人はHSPではない、と定義しています。
例えば、4つのうち3つに当てはまっていたとしても、1つはあまり当てはまらないと感じるなら、「HSP=人一倍繊細な人」ではなく、性格的に「内向的な人」の可能性が高くなります。
HSPさんの対処法は?
このような特性を持っているHSPは、普段の生活の中で生きづらさを感じています。
しかし、HSPは気質であり、病気ではありません。ただ、うつ病になりやすい傾向にはあります。
ですが、生きづらさを解消するために、できることもあります。
ネガティブ思考をポジティブに変えて自分を受け入れる
HSPの特性は、マイナスに取られがちですが、そんなことはありません。
HSPの人が持つ共感力や深く考えられる力は、社会生活に於いて尊い能力です。
自分の気質を活かせる仕事や場面はどんなところなのだろうと、考えてみてください。
あまりに生きづらさを感じているのであれば、今の環境が合っていないだけ。
自分の気質が肯定されるところに身を置くことを考えてみることも大切です。
自分を客観的に見てみる
自分を客観的にみる方法をご紹介します。
これは、能力開発トレーナーの山崎啓支氏が、著書の中で紹介している「ディソシエイト」という方法です。
- まず、目の前に、「映画のスクリーン」をイメージする。
- 刺激的な感情を体験したシーンを一つ特定する。
- それを誰かにビデオカメラで録画してもらったと仮定する。
- その映像を目の前のスクリーンに映し出して、それを見る。
- まるで他人事のように、それを客観的に見る。
他人を気にしない
「周りからの期待に応えなければいけない」という固定概念を捨ててしまいましょう。
とくに仕事の現場において、良い仕事をするためには「あれもこれもやっておかないと不安!」となりがちです。
これは、「周りにこう期待されている!」という思い込みによって発生している不安ですよね。
他人からどう思われているか、何を期待されているか、それを察知するスイッチを意識的にオフにすることも大切です。