最近小食になったから胃が小さくなったかも。こんな会話よく聞きませんか?
実際筆者もそんな話をしていたことがあります。
はたして本当に胃は小さくなるのでしょうか?
結論:胃は小さくならない
胃の構造を考えてみましょう。
胃は、風船のように収縮する器官なので、食べ物が入ってきたら膨らみ、食べ物を消化したら縮んでいきます。
当然、たくさん食事をすると、その分胃は大きくなりますが、それはどちらかというと「胃の内容物」が大きくなって、胃はそれに合わせて膨張しているだけ、ということになります。
水を入れた風船は大きく膨らみますが、中身を抜くと元のサイズに戻りますね、胃も同じように、食事をしたら大きく膨らみ、食べ物を消化しきったら元のサイズに戻ります。
内容物の入っていない胃のサイズは約100mlだといわれており、逆にどれだけ小食を続けたとしても、それ以下のサイズになることはありません。
小さなお弁当箱くらいのサイズが空腹時、1.5リットルペットボトルのサイズが満腹時のおおよその大きさで、胃のサイズはその間をいったりきたりしているのです。
小さくならないけど大きくはなる?!
原則的に胃は、食べ物を消化し終わると元のサイズに戻ります。
しかし、極端な食べすぎの状態が慢性化することで、胃が大きくなってしまう可能性はあるそうです。
厳密にいうと、これは胃が大きくなっているのではなく、胃の筋肉が収縮する力が弱まっている状態。
風船にパンパンに空気を入れた状態を長期間続けると、ゴムが伸び切ってしまうイメージですね。
食べすぎの慢性化は肥満の元になるだけでなく、胃の肥大化を招き、胃の筋力が弱まることで胃下垂や胃もたれの原因になりかねません。「腹八分」を健康の秘訣として提唱していた昔の人々は、やはり正しかったのです。
ちなみに、「胃拡張」の原因が食べすぎである、という通説がありますが、これは誤解。
胃拡張はひとつの病名で、原因は食べすぎとは関係ないところにあることがほとんどです。
いずれにしても、胃に違和感があれば、すぐにお医者さんに診てもらいましょう。
この感覚は脳のせい?
ダイエットで胃が小さくなったり、食べすぎで胃が大きくなったりする感覚は、多くの人が経験しているもの。
実は、胃が小さくなる/大きくなる、の正体は、脳のはたらきによるものだったのです。
「お腹がいっぱいになった」と感じるのは、胃ではなく脳。
食事をする→血糖値が上がる→脳の満腹中枢に伝達→脳から”信号”が出る
という経路を経て、脳から”満腹信号”が出たときに、満腹を感じられるのです。
たくさん食べても、脳から”満腹信号”が出なければ「お腹いっぱい」にはならず、逆に少ししか食べていなくても、脳から”満腹信号”が出れば「お腹いっぱい」になってしまうのです。
この”満腹信号”を出すタイミングにも「慣れ」があります。
大食が続けば、脳はだんだん”満腹信号”を出す食事の量を増やしていきます。
逆に、小食が続くと、少量の食事でも”満腹信号”を出すようになるため、すぐにお腹いっぱいだと感じるようになっていくのです。
すなわち、胃が小さくなった=脳が小食に慣れ、少量の食事でも”満腹信号”が出るようになった、胃が大きくなった=脳が大食に慣れ、少量の食事では”満腹信号”が出なくなった、ということだったのです。
まとめ
胃が一定の食事量に慣れるまでは、およそ2週間程度の期間が必要らしいので、しっかりと食事管理をして自分の脳に叩き込みましょう!